君のブレスが切れるまで外伝―on a rainyday remember love―
「変わることを願ったのよ」


 誰にも聞こえない声で呟き、体の向きを変えると人混みを縫うように進んでいく、あの子と巡り合うために。
 かるがゆえに私は偶然を必然に変えた、次に偶然で出会える可能性は0に等しかったから。どんな手を使ってでも、君にもう一度会いたかった。
 躊躇に躊躇を重ねてしまった結果、入手していた彼女の顔写真を見ることができずこの日を迎えることとなったけど、対面すればわかるはず。
 仲良くなる方法なんて知らない、冗談の言い方すらもマスターしていない。それでも、全てを初対面……いいえ、二度目の出会いに委ねることにしたい。――あの日のように。
 たとえひと目しか見れなくても、仲良くなることができなくても、答えが導き出せなかったとしても。君に出会うこと、それが私の願いだった。


 定期をかざし、駅の外へと足を踏み出す。学校まではすぐそこだ。
 朝の日差し。柔らかな風に桜が舞い、天空には青が広がる。それは奏でる曲の序章を思い浮かばせるような、始まりの季節。


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