君のブレスが切れるまで外伝―on a rainyday remember love―
 無意識という名の波が私の理解を越え、情報を促し、祝福の眼の力を覚醒に導いていく。
 他人にはわからない一瞬の出来事。人智を超えたそれは、封じられた最後の秘密を紐解き、私の脳の奥に書き連ねていく。


 ――そう、これが本当の眼の力。それ以外は付属品だったということね。


 覚醒した眼に映る姿は年齢が変わったといえども、正真正銘、あの日のあの子だった。
 しかし、この子を見た瞬間に、なぜこの眼が覚醒したのかまでは定かではない。初対面の時には、先程の感覚は呼び覚まされなかったのだから。
 それは彼女を取り巻く黒いオーラが関係しているの? あの頃の、キラキラと輝いていた彼女の姿はもうそこにはなかった。


 考えるよりも先に彼女に手を差し伸べると、体温が伝わる。
 とてもあたたかい。どんなに黒いオーラから汚されていたとしても、彼女の心は今も変わっていないようだった。
 頬を綻ばせてみようとはするものの、やはり笑顔を作ることはできない。
 いや、今は不要だ。


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