契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 ――私たちは既に結婚していて、肌も重ねているのに……前よりもっと、東雲さんの存在を大きく感じる。これ以上好きになってしまったら、怖いな……

 恋愛に慣れていないせいで、臆病さが顔を覗かせた。
 万が一繋いだ手を振り払われたらと想像するだけで、身の毛がよだつ。
 好きの気持ちに振り回され、いつか何も見えなくなってしまうかもしれない。それほどまでに初めて味わう恋は、甘美な毒同然だった。

「――希実、食べたいものはある?」
「と、特には……東雲さんはありますか?」
「この辺りだと、行きつけの寿司かイタリアンがあるけど……ゆっくりできる店の方がいいかな。あちこち連れ回してしまったから、疲れているだろう?」

 気遣ってくれる優しい眼差しにドキドキした。
 さりげなく腰を抱かれ、手を繋ぐよりも密着度が高くなる。
 今日一日で、二人の距離は如実に近づいていた。

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