契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「……ふ、随分正直な人ですね」

 てっきり憮然としていると思った東雲は、何故か破願していた。
 肩を震わせ、目尻に涙まで滲ませている。笑いを堪えられていないものの、懸命に平静を装うとしているらしい。

「え……あの?」
「社内に親しい友人はいないとか、告白する必要はありませんね。僕たちに関わりたくないと宣言するのも、蛇足です」
「ぇ、あ、はい。す、すみません……無礼でしたよね……」
「いえ、そういう意味ではなく、裏表がない人なのだなと感じました。それに社外のご友人も噂話を好まないなら、おそらく佐藤さんのおっしゃることは真実なのでしょう。類は友を呼ぶ。貴女がそういう人柄だから、同じような考え方を持つ相手と懇意になるのだと思います」

 よく分からないが、何となく彼の言葉に悪意は感じられなかった。
 友人を含め、褒められた心地もする。
 前のめりになっていた希実は、毒気を抜かれて忙しく瞬いた。

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