契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 いつになく大きな声で言い募る。
 必死な形相で東雲に訴え、彼の胡乱な表情を僅かでも和らげようと試みた。
 通常、柔らかな笑みを浮かべている美形が冷ややかな無表情なのは、甚だしく圧がある。
 じっとこちらを凝視されると、心の奥底を覗き込まれそうな怖さがあった。

 ――だけど引くわけにはいかない……!

 本心では泣きそうになりつつも、希実は死に物狂いで言葉を探した。

「私、安斎さんたちのプライベートに全く関心はありませんので……! むしろ関わりたくないというか……っ、――ぁ」

 焦るあまり、言い過ぎた。
 己の失礼な物言いに血の気が引く。
 こんな言い方をされては、誰だって面白くないに決まっていた。悪印象を持たれ、余計に機嫌を損ねかねない。
 しかし一度飛び出た言葉は取り消せなかった。
 希実は自らの口を手で押さえ、恐る恐る彼の反応を窺う。すると。

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