契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 だが賽は投げられてしまった。もう取り返しはつかない。返事を聞かなくてはならない瞬間が早まっただけ。
 傷だらけになりながらも、希実は覚悟を固めた。

「……東雲さん、飯尾さんが言っていることは本当ですか? 婚約者だった方と復縁される予定があるなら――」
「いったい何の話だ」

 困惑を隠さない彼が眉をしかめた。珍しく非常に動揺しているのが見て取れる。
 その様子に驚いたのは、今度は希実の方だった。

「……ぇ? 昔婚約していた西泉さんと連絡を取っていらっしゃるんですよね……?」
「彼女は友人だから、時折近況連絡程度は交わすが……それが何故復縁という話になるんだ?」

 戸惑いも露わな東雲に、嘘を吐いている気配はない。
 本当に身に覚えがないのか、じっと希実を見つめてきた。

「あの、飯尾さんがそう……」
「私は東雲さんのために面倒事を買って出たのよ。その女がいたら、西泉さんと一緒になれないでしょう」
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