塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件
☆たすく回想


 ひなたがうちで暮らし始めた頃、あまりの委縮ぶりに同情した。
 見るからに自分は厄介者だと信じて疑わず、新しい家族になじめずにいた。母親のほうは能天気でうちの娘は人見知りだからとかほざいていた。
 明らかに神経が細そうな娘を連れて離婚再婚を繰り返すなど、娘より自分のことを優先させている時点で母親失格だろうと思う。
 そんな女に尊敬する父親が引っかかったのも許せなかった。

 そうして、ガキのようにわかりやすく新しい家族の存在をなかったものとして処理しようとした。
 ひなたの母親が張り切って作るご飯も食べなかったし、会っても会話をしなかった。
 高校を卒業したら、一人暮らしをするつもりだったから、仲良し家族ごっこに参加するつもりはない。
 
 そのはずだったのに。
 ひなたは、痴漢にあっても、いじめにあっても、ただひたすら耐えていた。
 やたらと不幸体質で、理不尽な状況が向こうからやってくる。なのに本人は耐えるばかりでなにもしようとはしない。
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