塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件

 人見知りのひなたにとって、ネットで見知らぬ人と会うのは、一人で海外に行くくらい怖いことだが、そういう出会いも相手がいい人なら素敵だと思う。

「同性愛者向けのマッチングアプリがあってさ。変な人もいるんだけど、すぐにやらせろとか」
「それは怖い」
「でも今会ってる人は、ボクのペースに合わせるって」
「恋愛かぁ」

 日々バイトに明けくれるひなたにとって、恋愛は遠い異国でしか食べられない果物のようなものだった。
 でも、悪くない日々だった。余裕はなくても、余裕はなくても自分で稼いで、自分の居場所がある。
 母親は、前回の離婚はかなり堪えたようで、今は反省してカウンセリングを続けて自分の心と向き合うようになった。

 ──お母さんのことは嫌いにはなれない。だけどずっと苦しかったから、離れて時々電話したり帰省したりするくらいでちょうどいい。
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