塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件
ここはたぶんたすくのお父さんが契約している部屋で、ひなたの母のしたことを思えば、顔向けできない。申し訳なさすぎる。
「親父は、ヒナのことを養子にしたいって言ってた。離婚したあとも、ヒナがどうしてるか心配してた。だからいいんだよ」
全然知らなかった事実に驚き、そして嬉しくて切なくなる。
──たすく君のお父さんがそんなふうに言ってくれたなんて。
誰からも気にかけてもらえないと思っていたひなたは、一ミリでも自分の将来を案じてくれる人がこの世にいたという事実に感動していた。
たすくと過ごした短いけれど、平穏な日々はやはり宝物だ。願わくばあれが続けばよかったけれど、そうは問屋が卸さなかった。
けど、たすくの言葉だけで十分救われた。
「……なんで泣く。俺がいじめてるみたいだろ」
「だって……勝手に涙が……」
「ヒナは怒らないだろ。理不尽なことが起きても。だから親父が心配してたんだ。一人で溜め込んでないかって」
「ちっ、違うよぉ。たすく君が私の代わりに怒ってくれたから、だから私は耐えられたんだよ」