塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件
もう一度唇を重ねる。今度はぎゅっと抱きしめて離さなかった。何度もキスするうちに、ひなたの体の力が抜けてくる。ひなたの頭を抱いて自分の胸に押し付けた。
初めはどんくさくて幸の薄いひなたをほうっておけなくて、でも自分にないいいところがたくさんあるひなたを心の奥では尊敬してた。
あの母親のことはいまだに軽蔑しているが、ひなたという名付けはよいと思う。
「初めて会った時、ひなたより日陰のが合ってるって言ったの、撤回する」
本当のところは、理由なんてないのかもしれない。だけどひなたといると、春の日差しを浴びているような気持ちになる。
「あの時は、言いえて妙だなって感心しちゃった」
「卑屈な言葉、禁止」
そう言って唇を塞ぐ。唇から幸せが全身に広がっていくような不思議な気がした。
ひなたの良さは、わかりにくくて、そばにずっといないとわからない。だが癖になって離れられない魅力がある。
自分にとって、ひなた以上に大事な他人はもう現れない気がしていた。