塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい

 それはまぁ、人に言われるまでもなくたすくも思っていることだった。だからこそ腹が立った。
 息子が生まれてすぐ妻に先立たれたのに、再婚することもなくこれまで一人で育ててきた。父親は子供から見ても人格者で頭もよくて、地元でも尊敬される名士だった。

 見るからにアバズレとかなら、まだわかりやすくていい。黒髪のショートヘアに色白でやたらと若く見えて優しそうな再婚相手は、清潔感と透明感があっていわゆる男好きのするタイプだった。
 たすくが一番嫌いなあざといタイプの女。いわゆる清楚系ビッチってやつだ。あざとく自分の欲望を叶えてきた自分勝手な人間。

 ──そんな奴がマトモなわけないじゃないか。

 昔モデルだか女優をしていたようで、見た目だけなら真面目でしとやかに見える。親父がくらっと来てしまうのも仕方ないと近所の人は言う。
 
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