塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい

「お義父さん、たすく君。短い間だったけど、ありがとうございました」

 深く頭を下げる。目と口にぐっと力を入れて泣かないように我慢する。だって自分で決めたことだから。

 ──私は自分の力で生きていくしかないんだ。だから頑張る。

 言いたいことはたくさんあるけれど、短く別れの言葉と告げ、玄関の扉を開けて、重い決意とともに一歩を踏み出した。
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