前世恋人だった副社長が、甘すぎる




『若手経営者の会』は、私が勤務していた黒崎ホテル新都心のフランス料理店を貸し切って行われた。

豪華なシャンデリアが輝くエントランスに足を踏み入れると、毎日見ていた光景が広がる。

私はつい数日前まで、このフロントに立って接客をしていたのだ。それがもはやずっと前のことのように思える。



「いらっしゃいませ」


丁寧に頭を下げるスタッフ。

そしてフロントの前を通り過ぎようとしたが……


「えっ、菊川さん!?」


フロントにいた先輩が、私を見て慌てたような声を上げる。


「ど、どうしたの!?菊川さん!?」


先輩はそう言って、隣にいる怜士さんを見てはっと口を噤んだ。

怜士さんがかっこいいからだろうか、いや、氷の副社長だからだろうか。



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