前世恋人だった副社長が、甘すぎる
こんな怜士さんを見て、
「相変わらず怖いね」
苦笑いしながら彼は、私に自己紹介した。
「僕は川原電機専務取締役の、川原傑だよ」
またすごいのが出てきた。
川原電機だなんて、日本で三本の指に入る大手電機メーカーだ。
おまけに川原なんて名字だから、経営者一族に間違いないだろう。
「菊川穂花です。
……黒崎ホテルグループの、副社長秘書です」
消え入る声で自己紹介した私を、川原さんから隠すように後ろに下げる怜士さん。
私に背を向けているのでその顔は分からないが、
「手を出すなよ」
その声は冷たかった。
だけど、川原電機の専務取締役ともなると、その肝の据わりも一般人とはかけ離れていたのだ。