前世恋人だった副社長が、甘すぎる


「怜士って、女性に興味あるんだ。

怜士が女性に手を出しているところ、初めて見たよ」


その言葉にホッとしつつもドキドキする。

怜士さんがまた、とんでもないことを言い始めるのではないかと思ったりして。


「婚約者だ」


正式に婚約なんてしていないが、またそんなことを言う怜士さん。

だけどこれは今に始まったことではない。


「へぇー。どこのお嬢様?」


男性は深い意味もなく言ったのだろうが、その言葉が胸を抉った。

分かっていることだが、私は庶民だ。ホテル会社の御曹司が私みたいな平民と結婚するなんて、あり得ない話なのだろう。

まさしく前世と立場が逆転、私が蔑れる番だ。

きっと、これから幾度となくこういった場面に遭遇するのだろう。


「お前には関係ない」


怜士さんはピシャリと言ってくれたが、私の心はどんどん重くなるのだった。

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