前世恋人だった副社長が、甘すぎる


明るい顔の田川さんは続ける。


「菊川さんが来てからの副社長の変化には、驚くものがあります。

特に今日は少し穏やかな表情で、褒められたり礼を言われた社員だっています」

「そうですか……」

「これも、菊川さんのおかげです」


私のおかげと言ってくれて嬉しいが、生憎私は何もしていない。

だけど、こうやって怜士さんが社員からいい目で見られるのは嬉しいものだ。

怜士さんにとっても社員にとっても、お互い働きやすくなる。退職者も減るかもしれない。



私は田川さんに深々と頭を下げ、エレベーターに乗り込んだ。

ここのところ怜士さんや偉い人と会うことが多かったが、久しぶりの庶民の飲み会だ。

怜士さんのこと、なんて話そう。そんなことを考える私は、やっぱりただ普通の女子なんだと思う。

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