前世恋人だった副社長が、甘すぎる
それが出来れば幸せだと思うが、私の頭に思い浮かぶのはあの光景。
クリスチーヌは全てを捨ててマルクと逃げたが、結局捕まってしまった。そして、愛する人を奪われそうになったところを、身代わりとなって死んだのだ。
クリスチーヌはそれで幸せだったのかもしれないが、残されたマルクは……
「それでは、幸せになれないと思います」
私は怜士さんに告げる。
もちろん、ここで逃げてしまうのが速い決断だが、同じことをもう繰り返してはいけないと強く思う。
「私は、怜士さんが皆さんに認められて幸せになって欲しいのです。
失敗を二度繰り返してはいけません」
分かって……お願い、怜士さん!
怜士さんは泣きそうな瞳で私を見る。
こんなに余裕のない瞳を怜士さんにさせるなんて、私は何をしているのだろう。
「私は、怜士さんを信じています」