前世恋人だった副社長が、甘すぎる
扉がノックされ、小川が戻ってくる。
俺は小川を見ないようにして、パソコンに見入る。
明日の予定は……夕刻の便で、フランスへの出張だ。
予約してあるのは、ファーストクラスが二席。
あぁ、これは穂花が手配してくれたのだな。少し前のことなのに、酷く懐かしい。
「怜士さん。明日のフランスへの出張ですが……」
小川は頬を染めて言う。
「私がご一緒してもいいんですね」
俺はその言葉を華麗に無視した。
もちろん、小川と行くつもりは全くない。
もし、今夜の計画が上手くいかなければ、俺は一人で出張に行くつもりだ。
小川は俺を見て不安そうな顔をしたが、次の瞬間には笑顔になっている。図々しいにも程がある。
鈍感なのかわざとなのか。
「それよりも、本日夜の社長との会食、とても楽しみにしています。
何より、怜士さんがセッティングしてくれたのですね。
それに、ホテルのスイートルームを取ってくださったとのこと。
私、怜士さんと一夜を過ごせてとても幸せです」
その言葉にさえ、返事を返さなかった。