前世恋人だった副社長が、甘すぎる
だから、一流ピアニストよりはもちろん腕は劣ると思う。
こんな私がホテルでピアノなんて弾いてもいいのだろうか。
社長が知ったら、ますます嫌われるかもしれない……
「それはさすがに無理だよ!
泉ってば冗談キツいんだから!」
私は笑って流すのに、どうやら泉は冗談ではないらしい。
「私たち、切羽詰まってるんだよ!それに……」
「それに?」
「副社長が、穂花に弾かせればって言ったみたいなの」
「えっ!?副社長が!?」
どうしよう、訳が分からない。
怜士さんがスイートルームに泊まるってことは、あのレストランで食事だってするのだろう。
そして、私は副社長と婚約者の食事のバックミュージックを奏でろということか。
そうか、怜士さんは私に、婚約者といかにラブラブなのかを見せつけたいのか。