前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「ねぇ、穂花ってば!!」
泉の声で我に返った。
私ってば、またマルクのことを考えていた。あれはずっとずっと昔の話なのに。
それなのに、マルクを思い出すと顔がにやけ、赤くなってしまうのだった。
「ご、ごめんね、泉!」
真っ赤な顔に気付かれないよう、慌てて口元を押さえる。
「わ、私っ、その例の本のことを考えてしまって!」
「そっかぁ!そんなに楽しかったんだね」
そう言って泉は、ため息交じりに私に告げる。
「私にも王子様、現れないかなぁ。
あー、マルク欲しい!!」
「ダメっ!マルクは私のもの!!」
なんて言って、慌てて口元を塞ぐ。
こんな私を泉はぽかーんと見ているが……私ってば本当になんてことを言っているのだろう。
この記憶の話をしても、きっと泉は私の頭が狂っていると思うだけなのに。