前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「もう!やめてください!」
真っ赤な顔を思わずしかめると、叱られた犬のようにしゅんとなる怜士さん。
怜士さんはわざとやっているのだろうか、そんな態度を取ると、怒るものも怒れなくなると分かっていて。
だけどしゅんとなりつつも、嬉しそうに笑う怜士さんを愛しいと思ってしまう。
「もし、誰かに見られたら……」
そう、注目の的だ。
新しく異動した、酷く贔屓をされている秘書は、副社長の愛人だなんて。
「見られたらいい。穂花は俺のものだと分からせてやる。
そもそも、穂花を秘書にしたのも、近くに置いておくためだ」
今さらそう言わなくても、そのつもりだということは分かっている。
大企業副社長なのに、公私混同もいいところだ。
周りから白い目で見られるくらいなら、退職したほうがまだマシだ。
だけど……怜士さんを怖がる社員たちを見ると、この状況を少しでも良くしたいとも思うのだった。