前世恋人だった副社長が、甘すぎる



「もう!やめてください!」


真っ赤な顔を思わずしかめると、叱られた犬のようにしゅんとなる怜士さん。

怜士さんはわざとやっているのだろうか、そんな態度を取ると、怒るものも怒れなくなると分かっていて。

だけどしゅんとなりつつも、嬉しそうに笑う怜士さんを愛しいと思ってしまう。


「もし、誰かに見られたら……」


そう、注目の的だ。

新しく異動した、酷く贔屓をされている秘書は、副社長の愛人だなんて。


「見られたらいい。穂花は俺のものだと分からせてやる。

そもそも、穂花を秘書にしたのも、近くに置いておくためだ」


今さらそう言わなくても、そのつもりだということは分かっている。

大企業副社長なのに、公私混同もいいところだ。

周りから白い目で見られるくらいなら、退職したほうがまだマシだ。

だけど……怜士さんを怖がる社員たちを見ると、この状況を少しでも良くしたいとも思うのだった。

< 76 / 258 >

この作品をシェア

pagetop