前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「大丈夫です!」
必死で断るのに、
「時間がないのだろう、はやく行くぞ」
不意に手を引っ張られた。
怜士さんが触れた瞬間、ピリリッと電流が流れる。身体がぼっと熱を持つ。
怜士さんの大きな手は少し血管が浮き出ていて男らしくて、そしてどこか迸る色気だってある。
その手を見るだけで私の身体はおかしな音を立てるのに、
「愛しい彼女をこんなに見窄らしい服で連れ回すなんて、俺はしたくない」
耳元でそっと囁かれる。
熱い息が耳にかかり、体の力が抜けてしまう。
バレないように立っているのがやっとだ。
「見窄らしくて悪かったですね」
こうやって強がりを言うが、胸の中はドキドキが止まらない。
怜士さんはずるい。こうやって、不意打ちで甘い言葉を囁いて、私の心を絡め取っていくのだから。