プラトニックな事実婚から始めませんか?
証明



「みんなで集まるの、久しぶりじゃない? マンションに遊びに来てもらって以来かも」
「本当だよね。でもさ、遊園地でよかった? ここって、子ども向けの乗り物ばっかりだから」

 たまたま日曜日休みが取れたから、芹奈に遊びに行かないかと誘ったのは、先週のことだ。

 だったらと、私と啓介、芹奈、誠也さん、のんちゃんの5人で、地元の子どもたちに人気の遊園地に行こうという話になった。なんでも、のんちゃんはこの遊園地にある電車の乗り物が大好きらしい。

「意外と、啓介も子煩悩だよね」

 のんちゃんを連れて何回目かの電車の乗り物に乗っている誠也さんと啓介に手を振りながら、芹奈がそう言う。

「あれは、誠也さんと一緒にいたい感じじゃないのかな?」

 遊園地に着いてからというもの、啓介は誠也さんとおしゃべりばかりしている。

「あのふたり、仲良しだよね、ほんとに」
「向こうも、私たちのことそう思ってるよ。また乗るみたいだから、今のうちに飲み物買っておこうか」

 短い列の最後尾にふたたび並ぶ3人を見てそう言うと、芹奈とともに売店へ向かう。

「のんちゃん、ここのリンゴジュース好きなんだよね」
「よく来るの?」
「うん。ここ、私のね、思い出の場所なんだー」

 芹奈は優しい顔をしてそう言う。

「どんな思い出? って聞いていい?」
「うん。私が誠也さんとのんちゃんと3人で初めて遊びに来た場所なんだよね。近場はお姉ちゃんと誠也さんの思い出のある場所ばっかりだけど、ここにはお姉ちゃんと来たことないって」
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