心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「メイド長の娘のエミリーです。今は彼女もメイドとして働いてくれています」

「よろしくお願いいたします」


 顔を上げたエミリーの顔を見て、グレイは眉間にシワを寄せた。

 茶色の長い髪をふたつに分け三つ編みにしている。気が弱そうではあるが、優しそうな顔をしたメイドだ。
 そのエミリーは、グレイにジロジロ見られて真っ青になっている。



 ……全く見覚えがないな。



 今名前の出た、メイド長という者の顔すら浮かばない。
 自分がどれほど使用人に関心がなかったのか、グレイは改めて気づいた。


「エミリー。こいつはマリアだ。俺の妹として、大切に扱ってくれ」

「は、はい! マリア様! よろしくお願いします!」

「今すぐマリアを風呂に入れてもらいたいんだが」

「かしこまりました! 今すぐ準備して参ります!」
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