心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「今から風呂がどんなものなのかを教えてやる」

「……こわくない?」

「さあな。どう思うのかはわからない」


 水嫌いな人は風呂も苦手な場合があると聞く。
 水浴びすらしたことのないマリアが、風呂を気にいるかはわからない。

 そう思っての答えだったが、変にマリアを怯えさせてしまったらしい。
 無表情なマリアの顔が、少しだけ青くなった。


「大丈夫だ」


 マリアの頭をポンポンと撫でながらそう言うと、マリアはニコッと笑った。
 つられてグレイも少し笑顔になっていたのだが、本人は自分が笑ったことに気づいていない。

 コンコンコン


「入れ」

「失礼いたします」

「し……失礼いたします」


 ガイルが1人のメイドを連れて戻ってきた。
 まだ18歳くらいの若いメイドは、ビクビクしながらガイルの後ろに立って下を向いている。
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