心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 マリアの言葉を聞いて王子は頬張っていたケーキを思いっきり噴き出した。
 執事が笑いを堪えたような顔で片付けにやって来る。


「おまっ……何言ってんだ急に……!」

「さっき陛下が言っていたから……婚約者ってなんだろうって思って」

「知らないのか?」


 驚いた顔をしている王子の質問に、マリアはコクリと頷く。
 王子はまた頬を赤くしながら言いにくそうにボソボソと話し出した。


「だ、だから、婚約者っていうのはその……お、大人になったらけ……結婚する相手ってことだよ!」

「結婚ってなあに?」

「それも知らないのかよ!?」


 どう説明すればいいのかと、顔を赤くしてアワアワしているエドワード王子と純粋な瞳でそれを見つめるマリア。
 
 そんな可愛らしい2人の様子を、執事やメイド、騎士達は微笑ましく見守っていた。
 
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