心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
なぜグレイがマリアのことを心配しているのかというと、聖女セレモニーの間グレイはマリアの近くにはいられないからだ。
家族とはいえ、本日の主役は聖女であるマリアのみ。
まだ13歳の少年伯爵が一緒に王族と並んで過ごすわけにはいかないのだ。
マリア1人を王宮に送り出し、グレイやレオは夜に行われるパーティーに参加する予定であった。
「うわっ……! 俺が来た時よりも警備隊増えてない?」
外に出るなり、レオが驚いたような声を出す。
王宮から迎えに来た馬車の周りだけでなく、敷地内全体に街の警備隊や王宮の騎士団が配置されている。
今日初めて外を見たマリアは、目を丸くしてその光景に圧倒されていた。
「この人達、もしかしてみんなマリアを迎えに来てくれた人達なの……?」
「そうだ。……それにしても多すぎだと思うけどな」
「本日は色々な国の方がいらっしゃっております。万が一を考え、これくらいの警備は妥当でございましょう」
「わあっ!! ビックリしたーー! ガイル、いつからそこにいたの!?」
突如3人の後ろから会話に混ざってきたガイルに驚いて、レオが飛び跳ねていた。