心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
ずっと黙っているガイルを横目で見ると、なぜかレオの意見に賛同しているかのように頷いている。
「お前もレオと同じ考えか?」
「そうですね。少々甘さが足りなかったかと」
「甘さってなんだよ!?」
グレイが怒鳴ると、どこに隠し持っていたのかスッと脇から何かを取り出してきた。この前とは違う恋愛小説である。
またか!?
ガイルは前回と同じくその小説をグレイに差し出し、無理矢理その手に持たせてきた。
そしてなんの説明もないままグレイとレオに向かって声をかける。
「出発まで一休みされますか? すぐにお茶の用意をいたしましょう」
「おっ! ありがとうガイル!」
ニヤニヤと2人のやりとりを見ていたレオは、即座にその提案にのりガイルのあとについて歩いていく。
グレイは手に持っている本『愛の重い公爵様に執着されています』のタイトルを確認して、げんなりとした様子でノロノロと歩き出した。