心を捨てた冷徹伯爵の無自覚な初恋 〜聖女マリアにだけ態度が違いすぎる件〜

65 グレイが気に入らないエドワード王子


「マリアが光を出したせいで……」


 グレイがマリアを会場の外に連れ出すと、マリアがボソッと呟いた。
 グレイに抱きついているその腕は、ガクガクと震えていた。

 会場からはいまだに人々の叫び声が聞こえてくる。


「マリアのせいじゃない。アイツらがおかしいだけだ」

「そうだよ! マリアは悪くないよ!」


 グレイとレオがすぐにフォローするが、マリアの顔色は優れないままだ。
 今にも泣きそうな顔になっている。グレイはマリアの頭を優しく撫でた。


「大丈夫だ。落ち着け」

「うん……」

「マリア様!」


 会場から、執事のマルケスが血相を変えて飛び出してきた。

 廊下に立っているグレイと抱き上げられているマリアを見て、ホッと安心したようだ。
 駆け足でマリアの元にやって来る。

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