心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「まぁ、これも悲しいといえば悲しいんだけどさ。マリアは俺にドキドキしてないってことだね」

「ドキドキ……?」

「そう。恋愛の意味で好きな相手の場合、手が触れるだけでもドキドキするものなんだよ。心臓がいつもより速くなって、顔が赤くなって、頭が少しパニックになる……みたいな」

「なるほど」


 うんうんと素直に聞いているマリアと違って、経験者ですか? という目でエミリーから見られていることにレオは気づいていない。
 得意気になって話を続けている。


「この2つが当てはまると、その相手は『恋愛感情』で好きって言えるかな? まぁもちろん例外はあるし、誰にも必ず恋愛感情で好きな相手がいるとも限らない。実際に、俺には今そういう意味で好きな相手はいないしね」

「2つ当てはまる相手が……恋愛感情で好きな相手……」

「そう。貴族はあまりこの感情を優先されずに結婚する人が多いけど、マリアには……ちゃんとマリアが好きになった相手と結婚してほしいなって俺は思うよ」


 優しく微笑むレオと、隣でうんうん頷いているエミリー。
 マリアはそんな2人の姿を見て、胸が温かくなるのを感じた。ほんわかとした優しい気持ちに包まれる。
 レオの話をまだ完璧に理解できたかわからないけど、この2人に喜んでもらえる結婚がしたいとマリアは思った。



 手を繋いだだけでドキドキかぁ……。
 …………あれ? 私、お兄様といる時に心臓が速くなったことがあるけど、あれもドキドキになるのかな? んん?


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