心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
文句を言っているようで、どこか嬉しそうな声。
そんな王子の言葉を最後まで聞かずに、マリアは真剣な顔で王子に言った。
「エドワード様! パートナーの件、他の方にはできないかな?」
「は? パートナー?」
身体を小刻みに動かしていた王子は、ピタリと動きを止めてマリアを見た。
「ガブール国との親交パーティーの!」
一瞬思考が停止していたエドワード王子は、「ああ……」と思い出した様子で小さく呟く。
昨日各貴族の家に届いた招待状は、実際にはもっと前から用意されていたものだろう。全ての準備が整ってから一斉に発送されたはずだ。
そのため王子の手紙も数日前に書かれたものということになり、王子がすぐにピンとこなかったのも無理はない。
「あれが届いたのか。会った時に話そうと思っていたが、この前はそれどころではなくなったからな……」
「あのパートナー、私じゃなくて違う人に変えてほしいの」
「はあ!? 嫌だ!」
ドキッパリと王子が言い切る。
腕を組んでのけぞるように椅子の背もたれに寄りかかった王子の姿を見て、なかなか承諾してくれないであろうことが伝わってくる。
しかし、マリアも簡単には諦められない。
「お願い! 私がいない時は、エドワード様はフランシーヌ様をエスコートされてるじゃない? だから今回も……」