心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
フランシーヌとは、王子やマリアと年齢が一緒の公爵令嬢である。
エドワード王子の婚約者候補として筆頭の人物なのだが、王子がなかなか了承しないためあくまでも候補のままである。
フランシーヌはエドワード王子に惚れているらしく、それでも良いと候補の座でも今は満足しているらしい。
「絶対に嫌だ!!!」
フランシーヌの名前を聞いて、王子は顔をひどく歪ませた。
不機嫌さを隠そうともしない顔と『嫌だ』というセリフに、まるで幼い子どものようだと王子の執事とレオが苦笑いをしている。
エドワード王子は普段はもっと17歳の立派な王子らしい姿なのだが、マリアの前ではこうして幼いワガママ王子のようになってしまうことがあるのだ。
そのためマリアから意識してもらえないのでは……という助言を、執事はずっと言えずにいる。
「俺はあの女が嫌いなんだ! 二度とそんなこと言うなよ! それに、今回の件についてはマリアの兄も納得してるはずだぞ」
「う……」
昨日のグレイとのやり取りを思い出し、マリアは口を閉じた。
異をとなえているのは自分だけで、エドワード王子もグレイもこの件について不服を言っていない。
自分が我慢するしかないのだと、頭ではわかっているのだ。
やっぱりダメかぁ……。