心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
ガッカリと落ち込むマリアを見て、王子が呆れたように言った。
「諦めろ。マリアが俺のパートナーになるのは、マリアの兄も望んでいることだ」
「……そうなの?」
「ああ。そうでないと、マリアはガブール国の王太子のパートナーにされてしまうからな」
「えっ?」
意外な返答に、マリアは項垂れていた頭をバッと上げる。
壁際に立っているレオが、一瞬何かに納得したかのように目を輝かせた後、急激に心配するような目つきでマリアを見た。
「ガブール国の王太子? なんで私が?」
「向こうが言ってきたんだよ! 聖女様のお相手が決まってないのであれば、ぜひ我が国の王太子と……ってな。だから、第2王子である俺とのペアが決まってると返してやったんだ」
イライラした様子でエドワード王子が説明してくれる。
額には青筋が張っていて、王太子をよく思っていないことがバレバレだ。
ガブール国の王族は聖女のお披露目パーティーにも参加していないし、遠いためマリアもその国には行ったことがない。
会ったことのないその王太子がなぜここまで嫌われているのかマリアにはわからなかったが、顔を歪ませたままのエドワード王子がその理由を話し始める。
「ガブール国の王太子には俺も会ったことはない……が、噂だけは知っている。友好国の中ではかなり有名な話だが、ガブール国のアドルフォ王太子は……大の女好きなんだ」
「ん?」
「美人ならば、貴族平民お構いなしに手を出すって有名なんだよ。そんな男を、マリアのパートナーにさせられるわけないだろ」