心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
マリアは不安そうな顔をしたエミリーとレオを見て、察した。
驚いた様子のないこの2人は、もっと前から……もしかしたら、自分が自覚するよりも早く気づいていたのかもしれない。
「……エミリーもレオも中に入って」
2人を部屋に入れ椅子に座るよう声をかけると、マリアは2人の真正面にある椅子に腰を掛ける。
エミリーは、座る直前に後ろに回していた腕をサッと前に動かし、今度はカタログをテーブルで隠すように持ち直していた。
そこまでしてマリアに見せたくない物なのに、グレイに頼まれたことだからとその辺に放置せずしっかりと持ち歩いている。
そんなエミリーの仕事の熱心さには、マリアはいつも感心していた。
「2人とも、心配かけてごめんね。突然飛び出して驚いたよね? 涙も……出てたし」
「いや、まぁ……驚いたといえば驚いたけど、でもあれはグレイが悪いんだし、マリアが謝ることじゃ……」
「レオ」
「ん?」
「レオも……エミリーも、私がなんで泣いたのかわかってるのね?」
「!」
そうマリアが切り出すと、2人はギョッと驚きお互いの目を合わせた。
なんでわかったんだ? という顔をしている2人に向かって、マリアはクスッと小さく笑う。
マリアの笑顔に安心したのか、レオが遠慮気味に口を開いた。
「その……グレイがドレスを選ぶように言ったから、だろ?」
「うん。まぁ正確には、お兄様のパートナーが決まったって事実と、そのお相手にドレスを贈るってことにショックを受けちゃっただけなんだけど」
「あのさ、マリアは……その、なんでショックを受けたのか……わかってる?」
「お兄様が好きだからでしょ? ……恋愛の意味で」
「!!」