運命の人


 「それにね、お礼はしなきゃとは思っているの」

 「何の?」

 「タクシー代」

 そう言うと佐々木くんは首を傾げた。

 「それって澪がお礼することなのか?その如月って男だって終電あるなら電車で帰ればよかった話だよな?違う?」

 「そこもそうなんだよね」

 一緒に反対方向の電車に乗れば乗車賃だって安く済んだはず。

 「下心があったんじゃねーの?」

 「初対面だよ?しかも会って間もない相手に下心なんて持つ?」

 自分で言ってますます如月さんの行動が解せなくなってきた。
 一目惚れなんて簡単な言葉で済まされたけど、手慣れているだけなのかもしれない。
 でも、あの涙は?

 「ダメだ」

 考えれば考えるほどわからなくなる。
 そして深みにハマりそうで怖い。
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