運命の人
 「しかし、この後連絡来たらどうすんの?」

 「そうだなぁ」

 そういえばイタリアンレストランに誘われた返事もまだしていなかった。

 「もう一度だけ会ってみようかな」

 ポツリと呟くように言うと、佐々木くんの眉間に皺が寄った。

 「俺の話、聞いてたか?怪しいって言ったよな?」

 「もちろん聞いてたよ。騙される可能性があることも承知してる。でも経歴に嘘はなかったんでしょ?それなら一目惚れも嘘じゃないのかもしれないじゃない。それにこのまま連絡を拒否しても」

 「なにをして来るか分からない、か」

 佐々木くんは私の言葉を繋いだ。
 でも言いたいこととは少し違う。

 「このまま連絡を拒否しても気になって、連絡を待つようになるかもしれない」

 「まさか、あんな訳の分からない、顔のいいだけの男に惚れたのか?」

 佐々木くんに聞かれて首を横に振る。

 「私も如月さんの言動は所々おかしいと思ってるよ。だから惚れてない。でも気になるの」

 如月さんの言葉が本当だったらいいと思う気持ちが少しくらいはある。
 如月さんの言動にドキッと揺れ動く感情は嫌悪ではなくて、むしろその逆だから。
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