運命の人

 「澪はもっと自分に自信を持っていい。だからあいつが一目惚れするのもおかしなことじゃないし、あいつと並んでも引けを取らない。ただ、初対面の俺相手にムキになったり家に連れ込もうとしたり。それは普通じゃない。名刺に書かれていた役職は嘘じゃなかったけどなんか怪しいんだよ」

 「どうして嘘じゃないってわかったの?」

 聞けば、佐々木くんは知り合いのツテを辿って小田商事に部長職の如月という男性がいるか聞いてくれたらしい。

 「どうしてそこまで」

 「澪にはよく愚痴を聞いてもらってるし、あいつと会うきっかけになった電車に乗ることになったのは俺がいつもの愚痴で引き留めちゃったからだから」

 責任なんて感じてくれなくていいのに。

 「ありがとう」

 「お礼を言われることじゃねーよ」

 「だとしても。ありがとう。佐々木くんという同期がいてくれて本当によかったよ。もうここは私がご馳走しちゃうから、なんでも頼んで」

 「割り勘だろ?割り勘」

 佐々木くんは念を押すように言ってから麻婆豆腐のセットを、私は酢豚のセットを選び、注文した。
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