四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
「そんなに見られたら気になって眠れないじゃんって言われてね。でもあとから聞いたら本当は、私が保健室に入ってきた時点で起きてたんだって。先生も居ないからなんとなく気まずくて寝たふりしてたみたい」

「それで?シュリちゃんの怪我はどうなったの」

「四季くんがベッドから起き上がって、先生なら出てるけどって。どうしたのって聞いてくれたの。そのときには、このひと二年の星乃先輩だって気づいてた。ほんとは寝たふりしてたときから気づいてたんだけど」

「なーんだ。シュリちゃんもミーハーなんだ?」

「ミーハーって言うか!あれだけ人気があったら知らないほうが変だよ」

「ムキになっちゃって」

「もー、皐月くんってほんといじわる」

「はい?」

「なんでもないですっ。それで、バレーで突き指したかもって言ったら、見せてって言われて…。けっこう痛いのに四季くんが引っ張ったり曲げてみたり、まるでおもちゃで遊んでるみたいに扱われてね。なんの根拠もないのに“これなら大丈夫だよ”とか言うの。なんで?って思ったけど、星乃先輩が言うならそうなのかなとか思っちゃって」

「宗教じゃん。洗脳」

「あはは、そうかも。それから先生の代わりに湿布を貼ってガーゼって言うの?こういう…スポって指に被せるやつ、してくれて。そしたら本当に大丈夫かもって思えて…だから言ったの。“ほんとに平気になりました。星乃先輩は魔法使いですか?”って」

「はぁ?魔法使いィ?」

「…自分でもなに言ってるんだろって思ったよ。でも四季くんがふにゃってやわらかく笑って、その…俺、君と付き合いたいなって…」

「………なんで?」

「なんでだろ?」

「理由は?言われたでしょ?」

「いやぁ…うーん………なんかただ、そう思ったからって…。俺のこと知らないかもしんないけど君のこと可愛がりたいなって思っちゃった。だから彼女になってって言われて、本当にそれこそ洗脳されちゃったみたいに頭の中が四季くんでいっぱいになって、ただ“うん”って答えてた」
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