私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
「違うわ。もしかして、ドロテにはそう見えていたの? 私は殿下に庇ってもらって……」
「ごめんね、アリエル。でも嘘はいけないわ。アリエルのためにもフェリクスのためにも、本当のことを言わなきゃダメよ」
「本当のことよ」
「……アリエル。残念だわ。あなたなら、ちゃんと正直に言ってくれるって私……信じていたのに」
ポロポロと涙を流すドロテを、騎士の人達が同情するような目で見ている。
そして憎い敵でも見るような目を私に向けてきた。
……どういうこと?
ドロテはなんでこんな嘘をついているの?
呆然としている私の隣では、同じく呆然として言葉を失ったフェリクスが立っている。
嘘をついているのか誤解しているだけなのかの判断がつかず、戸惑っているようだ。
しかしそんな間にも、どんどんと騎士の1人が私に近づいてきた──。