私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
「あの、アラン! 婚約者のマリーはお元気?」
「え? なんだよ、突然。元気だけど……今はそれよりもアリエルのほうが大変な──」
「たしか来年結婚するって言ってたわよね? 式には私も呼んでね!」
「あ、ああ。それはもちろん……って、だから今はそんな話をしてる場合じゃ──」
「私は大丈夫よ。ドロテとちゃんと話せれば、誤解は解けるもの。だから安心して」
「そうか? なら……また来るよ」
「ええ。ありがとう」
早口に話して、戸惑ったままのアランを無理やりにこの場から帰らせた。
残ったのは、不自然な笑顔を貼り付けた私とポカンと間抜け面をしているフェリクスだけだ。