私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
穏やかなアランはやけに観察眼があり、誰にも気づかれなかった私のフェリクスへの想いもすぐにバレてしまっていた。
誰にも言わないでと言っておいたけれど、今この場所はアランにとっては私しかいないのだから、話される可能性がある。
フェリクスの前で余計なことを言われたら困るわ! ……って、あっ!!
「おい、アラン。今の話をもっと詳しく話せ」
いつの間にか牢をすり抜けてアランの真横に立っていたフェリクスが、真剣な表情でアランに詰め寄っている。
──もちろんその声は聞こえていないが。
フェリクスってば! 何やってんのよ!
……あ。でも、フェリクスは私とアランのことを変な誤解しているみたいだし、ここはその誤解を解くチャンスかも?
って言っても、私の本音をバラされるわけにはいかないけど!!