私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】

 気づけば、今度は檻の前にドロテが立っていた。
 ずっと弱気で泣きそうな顔をしていたドロテは、今は輝くばかりの笑みを浮かべている。



 笑ってる?
 フェリクスが意識不明で、私が牢屋に入れられている……この状況で?



「アリエル。今、どんな気持ち?」

「ドロテ! 誤解なの。私、フェリクスを突き落としてなんか……」

「知ってるわ。見ていたもの」

「え? じゃあ……なんで……」


 目の前にいるドロテは、普段の彼女の雰囲気とは違う。
 いつもは優しそうな笑顔も安心させてくれる可愛らしい声も、今は人をバカにするような笑みと口調に変わっていた。

 こんなに余裕そうで楽しそうなドロテの顔を見たことがない。
 


 ドロテ……?
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