私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました

7 ドロテの本性


「ふふっ。ごめんね? アリエル。あなたとフェリクスがあのとき無事に婚約破棄してくれていればよかったんだけど……こんなことになっちゃったじゃない? だから念のため、あなたには確実にフェリクスの婚約者の座から降りてもらおうと思って」

「……フェリクスと婚約するため? でも、それならわざわざこんな嘘をついて私を捕まえなくても私は……!」

「私にフェリクスを譲るつもりでいたのに……って?」

「そうよ。想い合っているあなた達の邪魔はしないつもりで──」


 ズキズキと痛む胸を押さえてそう話していると、突然フェリクスが大声で叫んだ。


「待て! 俺とドロテの婚約ってなんだよ!? 想い合ってるって、俺とドロテが!? 一体なんの話だ!?」

「!?」


 バッとフェリクスの顔を見ると、本気で驚愕した表情をしていた。
 とても演技には見えないし、彼の不信感や戸惑いが嫌というほど顔に出ている。
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