私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました

最終話


 それからは、やけにバタバタした日々だった。
 私を牢屋へ入れたことに対して、フェリクスと私の父がかなりお怒りだったからだ。

 私が2人をなだめたことで、なんとか穏便に事は済んだ。
 しかし、状況を説明する上でフェリクスは1つの嘘をついたのである。

 それはドロテのことだった。

 牢屋でのドロテの言い分をすべて聞いていたフェリクスだが、それについては一切話さなかったのだ。
 ドロテが私に嫌疑をかけたことに対しても、ただの見間違いだったのだろう──などと説明していた。

 フェリクスが話さないのなら……と、私も何も言わなかったけれど、後日フェリクスの部屋を訪れた私はその件について問いかけることにした。
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