狂愛〜虎を照らす月〜
そして、車から降りれば、いつの間に出てきたのか、うちにいる組員の規模とはまるで違う大勢の組員が一糸乱れぬ列をつくり整列している。

「おかえりなせい」

地響きのような声がかけられる。

毎回大変そう。
声を合わせる練習とかしたのかな?
うちはもっとバラバラだ。
なんて呑気に思っていれば、


「いくぞ」
と岳が私の腰に手を回して歩き出した。


あ、歩幅合わせてくれてる。
さりげない優しさに、キュッと胸が熱くなった。


朔さんは、すんごいスピードで玄関まで歩いたもんね。

だから、普段はきっと岳もあのくらいのスピードで歩くんだろうな。

そして、岳を見上げてみれば、そんな私に気づいて、見下ろしたままフッとまた優しく微笑んでくれた。

私も、クスッと笑い返した。


ザワザワと周りが騒ぎだす。


え?何?
また、岳を見上げる。


「はは。何でもない。気にしなくていい」

とまた、優しく声をかけてくれた。

岳が言うなら大丈夫なんだろう。
私は気にせず前を向いた。
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