愛のない一夜からはじまる御曹司の切愛
 そして、そっと自分のお腹に触れてもらう。


「咲良?」
 もしかして、そう思っているのかもしれないが、違ったらという疑念もあるのだろう。
 探るような視線に、私はにっこりと笑って見せる。

「三ヶ月だって。家族が増えるから、この子も大切にしてね」

 最後まで言い終わらないうちに、力いっぱい抱きしめられる。

「マジか……」


 少し掠れた声に、私はポンポンと彼の背中を叩く。

「嬉しい?」

「当たり前だろ」

「今度はオムツ変えてね」

「全部やる」

「それはダメ」

 そんなやり取りを繰り返す。



「一生、一緒だ」
「うん」
 
 家族がこれからどれだけ増えても、それだけ幸せが増えていく。
 そんな私たちでいたい。心からそう思った。






End


番外編
< 243 / 251 >

この作品をシェア

pagetop