愛のない一夜からはじまる御曹司の切愛
 その頃の俺は、大学院に行きながら父の会社にも出向きいろいろなことを学んでいる最中だった。正直余裕などないし、真剣に恋愛をするような状況でもなかった。ましてやそれが俺の大切な弟の彼女。
 
 いくら目を引かれたからといって、何かをするつもりもなかったし、彼女のような無垢な女性に声をかける資格はなかったと思う。。
仕事と学業が忙しいという理由で、ステイタスに寄ってくる女性と軽い付き合いしかしていなかった。
 
 そのことは、すぐにタブロイド紙をにぎわすこともあったし、それを咲良もきっと目にしていたはずだ。俺のような汚れた人間はふさわしくない。
 
そんなことすら思った自分がおかしかった。
< 59 / 251 >

この作品をシェア

pagetop