パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
「それは……」


 ここで出された“兄貴〝という言葉に、ドキッとして俯く。ここまでして私がこの場に来たことにはもちろん理由がある。
 そう、元樹の兄である恭弥さんをひと目見るためだ。

 大学時代、元樹の実家はかなり大きなお屋敷で、元樹の部屋は離れになっていて、みんなで勉強をしたり、遊んだりするのにうってつけだった。ゼミも同じだったこともあり、男女数人、いや多い時は数十人が、朝まで誰にも邪魔をされず討論をしたり、レポートを書いたりと、いつも元樹の家に入り浸っていた気がする。

 私は誰よりも彼の家にいたかもしれない。もちろん、純粋に勉強をするためだということは嘘はない。


 しかし……。
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