ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「母親が亡くなってから家事一切を取り仕切っていたせいか、家事全般得意だし、料理の腕だって大したものだ。
君も、それは実感しているだろう?」
「えぇ、本当に」

大地が大きくうなずく。

私はだんだんアホらしくなってきた。
……なんなの、いったい。

まさかの父さんの娘自慢に、あらゆる意味で恥ずかしくなってきた。
……お風呂入ってこよう……。

「そんな舞美が、なぜ、この歳まで独り身でいるのか……君は、不思議に思わなかったか?」
「それは本当に……不思議というより、僕にとっては奇跡に近い幸運だったんですけど」
「大地くん……君は、本当に、いい奴なんだなぁ。
君なら、もう気づいているだろうが───舞美はね、ギャップがあり過ぎるんだよ。
適度に距離があるうちは、愛想よく控えめに振る舞うんだが……。
親しくなるにつれて、顔に似合わない乱暴な言葉遣いをしたり、歯に衣着せぬ毒を吐かれたりして、みんな、だまされたと思うらしいんだ」
「だまされた……ですか?」

理解できないといったように首を傾ける大地に、私はこっそりささやいた。

「……いちいち相手にすることないわよ。適当に切りあげていいからね。私、お風呂に入ってくるから」

大地はちょっと笑って、小さくうなずき返してみせた。


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