ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!

2.お礼は倍返しするから、ね?

ミニパックの柿の種ひと袋と缶ビール片手に、ベランダへ出た。

夏になると、ごくたまに、風呂あがりに涼みがてら外の空気に触れたくなったりする。
よほどの熱帯夜でもない限り、23時をすぎれば、夜風が、さっぱりとした肌に心地よかった。

私の住んでいる地域は、高原地ではないけど、田畑広がる田舎の方なので、星空はそこそこ楽しめた。

天体は特に詳しくないし、望遠鏡なんて、もちろんない。ただ、ビール片手に、小さく大きく瞬く星を、ボーッと眺めているだけだった。

「まだ寝ないの?」

濡れた髪をタオルで拭きながら、大地がベランダに顔だけのぞかせる。

「……明日は休みだしね。ゆっくり呑みたいの」
「ふーん。……じゃ、僕も、一緒していい?」
「髪、ちゃんと乾かしてきなさいよ? 風邪ひくわよ」

大地は私の忠告を無視して、清涼飲料水の入った青い缶を手に、私の隣へ腰を下ろした。
ふわりと、私と同じシャンプーの甘い香りが、夜風に流されてくる。

「星をながめていたの? 高尚な趣味だね」

感心するというよりは、からかいを含んだ物言いに、柿の種を口に放り込み、ガリガリと()み砕いた。

「……人のコト馬鹿にしに来たなら、とっとと部屋に戻って寝なさいよ。ビールが不味(まず)くなるじゃない」

大地は、ふふっと笑った。ごめんと言いながら、手にした缶を開ける。

「……僕も、星座の位置とかに詳しいわけじゃないけど……。星座の元になったギリシャ神話なら、少し知っているよ。

うーん……今の季節だと、北斗七星で有名な大熊座の話とか。
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